男性用のいわゆる黒いスーツの喪服には、シングルとダブルというふたつの種類が存在します。
両者の違いは外見の違いです。
後者はスーツ前方の打ち合わせ部分を広く重ねるような形でボタンをとめるので、恰幅の良い姿に見えて、格式も高く感じられるようです。
その外見的なイメージも手伝って、シングルよりもダブルの方が喪服としては格が上という認識が一般的に広まっているようですが、これはあくまでも俗説です。
実際のところ、両者に格の差など存在しません。
ですから、個人的に好きな方を、あるいは着やすい方を選んで着用すると良いでしょう。
格式という意味合いから言えば、和装やモーニングといった正装や、それに準じるブラックスーツ、さらにそれらを略式化した服装として認められているダークスーツなどには、それぞれの間に正式・準式・略式といったカテゴライズに
よる明確な礼服としての格差があります。
しかし、ダブルとシングルにはそういったものは存在しませんから、たとえば葬儀に出席する際にも、そういった面に関する過度の気づかいは無用であると心得ておいてください。
葬儀に行く際に、シングルのシーツが良いのか、ダブルのスーツが良いのか迷う点だと思います。
通夜では畏まりすぎずとも良いとされていますが、葬儀においては別です。
きちんとした折り目正しい正装で行くのが礼儀になります。
結論から言うと、ダブルの方が、シングルよりも格上・・ということはありません。
なぜそのように言われているのかは諸説あるのですが、1ついえることは年代による流行の違いです。ダブルを着られている方は、50代以上の方が多いと思いますが、これはバブル期にダブルが大流行したことに影響しています。
現在は、シングルが主流になっていますので、ご年配の方から見れば「ダブルが正式」ということになるのかもしれません。
そして、もう一つの要因は、日本独自のドレスコードにあります。
現在の主流であるシングルの喪服は2ピースのものが多いですが、本来はベストが付いた3ピースが正しいものです。
一方、ダブルについてはベストは必要ありません。
つまり世界のドレスコードで見れば、ダブルの方が正しい装いなのです。
ただし「格」ということになれば、これは別です。
格で表せば、一般的な喪服(略礼装)の上は、準礼装。そして、その上がモーニングなどの正礼装です。
ダブルかシングルかで格が変わるわけではないので、略礼装であるならば特に気にすることはありません。